屋外で過ごすのを好まない人は、あまり居ません。サウジの屋外では、スポーツや冒険の他にもさまざまな素晴らしいアートを楽しめます。ジェッダの広々とした屋外彫刻公園、リヤド市内に建設中のアートラボ、アラビア全域で見られるカリグラフィーのストリートアートなど、いたるところでアートスポットを見つけることができます。さらに、サウジの屋外アートインスタレーションでは、遊びながら新しいことを学べます。これは、他にはなかなかないチャンスです。

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ジェッダの彫刻

屋外アートが好きな人なら、一生に一度はジェッダを訪れるべきです。1972年から1986年までジェッダの市長を務めたモハメド・サイード・ファルシ(Mohamed Said Farsi)は、屋外アートに大きな貢献を果たしました。ファルシはエジプトのアレクサンドリアで大学時代を過ごしていた際に、ジェッダの街の美化を思いつき、熱心に都市計画に取り組みました。10年の歳月をかけて地元や海外の注目に値する作品を収集し、その努力は実を結びました。ジェッダのコルニッシュ周辺と市内全域にヘンリー・ムーア、ヴィクトル・ヴァザルリ、ムスタファ・センベル、ジョアン・ミロ、ジャン・アルプなどの400点の像が設置されることになったのです。

 

アドバイス:この地図を見て、コンクリートのブロックに5台の車が衝突しているフリオ・ラフエンテ作のAccident! (Crazy Speed)(コルニッシュ北部オブハー地区)、ムスタファ・センベル作のThe Fisherman’s Net(コルニッシュ中部ルイス地区)などの作品を見つけてください。

ジェッダの屋外彫刻公園

ファルシが委託した作品の多くは、時間の経過とともに砂、塩、熱などによる損傷を受けはじめました。そこで、2011年にジェッダ市と文化施設のアート・ジャミールは大規模な修復プロジェクトに着手しました。同時に、21点の彫像がジェッダのコルニッシュに移設され、サウジ最大の屋外美術館アル・ハムラー(Al Hamraa)が設立されました。コルニッシュにある敷地面積7km2のこの公園を、紅海の風に吹かれながら散策してみてください。ここには、Oval With Pointsなどのヘンリー・ムーアの作品や、象徴的な幾何学形状と遊び心ある色使いが特徴のヴィクトル・ヴァザルリ作Balance in Airなど何点かの作品を見ることができます。

 

ファルシは1981年にヴァザルリに出会い、のちにこのように記しています:「 初めて言葉を交わした時から、若々しく、活気にあふれ、進取の気性に富んだ人物であることが分かりました。彼は、目まぐるしい世の中に付いていくために次々と新たなアイデアを提示することに情熱を燃やし、新しい美術の材料が出てきたら、地下鉄の駅やバス停などの広告看板に使うべきだと考えていました。ヴァザルリは、大衆文化は人々がどこに居たとしても、人々のためにあると主張していました。」

カリグラフィーの年

2020年にサウジアラビア文化省は「アラビアのカリグラフィーの1年(The Year of Arabic Calligraphy)」を立ち上げ、アラビアのカリグラフィー振興の概念が企業、政府機関、非営利団体、人々の間で共有されることを目指しました。この取り組みの成果は、リヤドのトンネルや道路、サカーカのメッカ通りの美化活動などにおけるストリートアートとして現れています。文化省はまた、「アラビアのカリグラフィーの1年」の一環として無料のeラーニングプラットフォームを立ち上げ、アラビアのカリグラフィーとイスラム装飾美術を学べる場を提供しています。

鏡張りアートインスタレーションほか

「鏡」を意味するマラヤ(Maraya)は広さ5,000m2の立方体で、周囲にあるアル・ウラーの砂漠の風景を反射しています。Marayaは印象的な外観を眺めるだけでも、訪れる価値があります。しかし、コンサート、インタラクティブ展示、没入型の演劇などの会場として使われている館内にもぜひ入場してみてください。ステージの後ろには800m2を超える大きな開閉式の窓があり、アル・ウラーの風景を覗くことができます。

アート・リヤド・プロジェクト

サウジの首都で進められている4つの主要なプロジェクトの1つが、アート・リヤド・プロジェクトです。市内をオープンギャラリーに変えることにより、新たな創造的表現の機会、地元や各国の芸術団体のメンバーの参加、知識の移転などが可能になります。その目的は、住宅街、公園、庭園、公共交通機関の駅、道路など、リヤドのあらゆる公共スペースに1,000点以上のインスタレーション作品やランドマークを設置することです。さらに、街の入り口、橋、市内に既存する観光スポットの近くにもアートが設置される予定です。この大がかりなビジョン2030の取り組みの一環として、これまでに次にあげる11のサブプロジェクトが定義されています:

 

  • Urban Art Lab:市内各地の広場に有名アーティスト達の作品を鑑賞できるギャラリーを設置し、アーティストとリヤドの住民との交流を促進。
  • The Joyous Gardens:有名アーティスト達の設計による地域の庭園のプレイグラウンド。
  • Jewels of Riyadh:貴重なアート作品を観光スポットのそばに設置予定。
  • Welcoming Gateways:街の入口のユニークで印象的な門。
  • Art on the Move:主要な交差点に彫刻のインスタレーションが設置されました。
  • Art in Transit:バス停とメトロの駅にアート作品を設置予定。
  • Urban Flow:歩くことを推進し、街全体の相互アクセスを高めるために設計された美しい歩道橋。
  • The Hidden River:橋や高架橋の芸術品なイルミネーション。
  • Garden City:リヤド中心部の庭園におけるアート作品と彫刻の常設コレクション。
  • Riyadh Icon:リヤドの街の分かりやすい目印となるユニークなランドマーク。
  • Noor Festival:イルミネーションを使用したインタラクティブアートの例年のイベント。